しかしながら,原告らは,昭和45年に
GからHに対して本件贈与とともに,これに基づく簡易の引渡し(贈与の履
行)がされたと主張して,「贈与による財産の取得」があったとするので,
以下,この点について検討する。
なお,被告は,簡易の引渡しがそもそも課税の上では,書面によらない贈
与の履行とみることができないので,主張自体失当であるとも指摘するが,
課税は,実体法上の権利関係に基づいて行うべきものであって,外形上分か
りにくいというだけで,簡易の引渡しが上記履行に該当しないという理由は
なく,それぞれの事情に即して簡易の引渡しがあったとの立証(まさに基本
通達でいう上記の「反証」)ができるかどうかにゆだねることで,不都合が
生じるものではないと解する。
したがって,上記被告の指摘は採用の限りで
はない。
(2) そこで検討するに,まず,原告らが主張する本件贈与契約を裏付ける直接
的な証拠としては,原告Aの供述(甲11,原告A本人)がある。
当該供述
には,昭和45年ころ,Gの自宅を訪問したHが,Gに対し,本件土地に隣
接する土地を購入する資金の援助を求めるとともに,本件土地を贈与するよ
う申し入れ,Gにおいてこれを承諾した旨の部分がある。
そして,前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下
の事実が認められる。
ア本件土地の利用状況とこれに関連するG及びHの生活,行動等
(ア) 大正元年,Eが本件土地を買い受けた後(所有権移転登記は大正9
年),本件土地上の建物には,E,その妻K,長女L,長男G,二女M,
二男Hらが同居していたが,G(明治▲年,米国ワシントン州シアトル
で出生)は,旧制中学卒業後,単身渡米した(甲6の1及び2,甲11,
原告A本人)。
(イ) Eは,大正▲年▲月▲日に死亡し,Gが長男として家督相続したが,
N家の家業である乾物問屋の営業については,Hが承継した。
Hは,戦時中を除き,本件土地上の建物で,Kと同居していたが,昭
和▲年にKが死亡した後も,同所において,自分の妻子と同居して生活
していた。
ただし,Hは,本件土地について,地代,賃料等の利用の対価を支払
うことなく,本件土地に係る固定資産税等の公租公課を負担するにとど
まった。
(以上につき,甲11,原告A本人)
(ウ) 一方,単身渡米していたGは,米国の大学を卒業してO社に勤務し
た後,昭和8年日本に帰国してP株式会社に入社し,昭和12年10月
に原告Aと婚姻した後,横浜市内(原告A肩書住所地)の所有土地建物
において同居生活を始め,昭和22年にはP株式会社を退社して,Q有
限会社(現R株式会社)を設立し,同社を経営するに至った(甲11,
原告A本人)。
(エ) Hは,昭和42年5月30日,本件土地及び隣接土地(広島市α1
0番20 宅地101・85平方メートル(ただし,昭和44年8月2
0日換地処分後。
以下「本件隣接土地」という。